CHEF

山森敦史(やまもりあつし)

兵庫県宝塚市のかわいいケーキ屋さん「Prier-プリエ-」のオーナーシェフのプロフィールです。

シェフのひとりごと

シェフの経歴

1970/10/7 大阪府生まれ
1989/3 大阪あべの辻製菓専門学校卒業
1989/4 (株)宝塚ホテル入社
1992/10 第34回クリスマスケーキコンテスト持ち寄りの部 優良賞受賞
1993/10 第18回西日本洋菓子コンテスト実技の部 最優秀賞受賞
1993/10 第35回クリスマスケーキコンテスト実技の部 最優秀賞受賞
1994/10 第19回西日本洋菓子コンテスト実技の部 優良賞受賞
1999/8 菓子工房みわあおに五月台4丁目入店
2001/3 手作りのケーキ屋さんプリエ開店
2012/9 「モノ・コト・バ宝塚」「モノ」部門」選定
2016/11 第37回洋菓子製造技術の部 優秀技能賞受賞

シェフのひとりごと

HAPPY PUDDING(はっぴぃーぷりん)

HAPPY PUDDING(はっぴぃーぷりん)

とろ~りやわらかい食感と舌にまとわりつくような濃厚な味わい。極上の卵とミルクが絶妙なバランスで醸し出す濃厚で力強い味と香り、その中にほのかに優しく香るバニラが顔を出す。食べ進めると香ばしく苦味の効いたカラメルソースが主張を始める。彼が主張すれば、味はぐんっと深みを増していく。口の中で混ざり合い、深みを増しながらとろけていくような味わいは、心までもとろけさせ、やわらかい幸福感に包まれる・・・。

そんなプリンを作りたくて「HAPPY PUDDING(はっぴぃーぷりん)」を作りました。いろいろなこだわりも有りますが、いつものようにプリンのお話からどうぞ・・・

「プリン」というのは和製英語で日本でしか通じないと思います。英語では「pudding」(プディング)、フランスでは「creme caramel」(クレームカラメル)や「creme renversee」(クレームランヴェルセ)と言います。プリンの歴史は古く、15世紀末頃にイギリスで生まれたと言われています。俗に言う大航海時代ですね。船の上では、保存技術が発達していないため食料は貴重な物だった。そこで食べ残したパンくずや、肉や卵、余った小麦粉など、ありあわせの食材をひとつにして蒸し焼きにして食べたのが始まりだと言われています。そこからイギリスの家庭に広がっていき、様々なプディングが作られるようになったそうです。今でも色々な料理にプディングという名前が付いています。ローストビーフの付け合わせに用いられるパイや、シュー皮のような「ヨークシャープディング」、豚や牛の血を使ったソーセージ「ブラックプディング」、卵、牛乳、お米などで作る「ライスプディング」、ドライフルーツや牛のケンネ脂などを混ぜて蒸し固めた物で、見た目はパウンドケーキのような「クリスマスプディング」などなど、色んな料理にこの名前が使われているんです。そういう料理がイギリスからフランスに入り、フランスで時間を掛けて進化していき、今のプリンの原形である「クレームカラメル」や「クレームランヴェルセ」が誕生したそうです。だからプリンはイギリス生まれのフランス育ち。生みの親のイギリス人は当然ですが、育ての親のフランス人も、やっぱりすごいんですよねぇ。

プリエの「はっぴぃーぷりん」の話に戻りましょう。まずは素材。北海道産の乳脂肪が4.5%の濃厚でおいしい特濃牛乳と、北海道産の乳脂肪35%の風味豊かな高級純生クリームをブレンドしました。そして卵は、餌にこだわった健康な鶏が産んだ鹿児島産の「ヘルシー卵」を使用し、しかも卵黄がたっぷりと入ったリッチなレシピのプリンです。そして製法。オーブンでじっくりと焼かれることで顔を出す乳脂肪の極上の味と香り。濃厚な卵の旨味と絶妙なバランスで主張してくるミルキー感。それを最高な状態で引き出すために、低温のオーブンで時間をかけてゆっくりじっくり焼き上げました。次に食感。私はプリンは卵料理のひとつだと考えています。オムレツでも目玉焼きでも私が一番おいしいと思うのは、半熟です。卵の旨味をしっかりと感じていただくために、とろ~りやわらかい半熟状態に焼き上げています。最後にカラメル。カラメルソースがおいしくなくてはプリンは台無しになってしまいます。プリエでは、ただお砂糖を焦がすだけでなく、仕上げにラム酒を加えてリッチな香りのあるソースを作っています。

いかがでしょうか?あの小さなカップの中に詰め込まれた、たっぷりのこだわりと愛情で作られた大きな世界。「はっぴぃーぷりん」を食べていただいて、幸福感とともに、そんなことを感じていただければ嬉しく思います。

では、今回はこの辺で失礼したいと思います。長くなってしまいましたが最後までお読みいただいて、ありがとうございました。